2008年1月20日

「お話しPod&ラジオデイズ朗読賞2007」
選考結果

お話しPod&ラジオデイズ朗読賞2007選考委員会

T.応募と選考
 多数のご応募、まことにありがとうございました。作品総数39編、応募者数32名でした。
 作品のジャンルは、詩、物語、民話、小 説、エッセイとさまざまでしたが、下記の審査基準に基づいて厳正に審査し、最優秀 賞1名と優秀賞3名を選びました。さらに、オリンパスイメージング様のご厚意により、 優秀賞に準じる読みとして2名に「特別賞」を贈ります。
 受賞者には賞金と副賞ないし賞品を近日中にお送りいたします。

U.入賞者
最優秀賞  1名(賞金5万円 副賞オリンパスラジオサーバーVJ-10)
 藤井直子「おれがあいつであいつがおれで」山中恒・作

優秀賞   3名( 賞金1万円 副賞オリンパスVoice Trek V-50)
 古賀朋子「がくあじさい/あいたくて」星野富弘/工藤直子・作
 びっくまうす「ふしぎな図書館」村上春樹・作
 山口葉子「舌を噛み切った女」室生犀星・作

特別賞  2名(賞品 オリンパスVoice Trek V-50)
 リンダ「小さな手」「海の歌姫ラスティーヌ」リンダ・作
 馬場精子「でんでんむし」新美南吉・作

V.審査基準
 多くの作品が読みの技術においてはレベルの高いものでした。そこで、審査の基準 は「既成の枠にとらわれない自由闊達な朗読作品」「心に響く作品の表現」という点 に置きました。最も重視されたのは、人間の存在感あるいは生命感です。読み上げら れる声が、生きた人間の直接の姿を表現しているか、この点が第一の基準です。
 入賞した作品の読みはどれも、現実的な人間の生命感にあふれるもの、何度も聞い ても深まりを感じるもの、心に響いてくるものです。作品の文章と真剣に向き合って、 作品の意味を理解しつつ朗読することで、文字として描かれた作品が「語り手」の語 る人間の世界として表現されました。

W.入賞作品選評
最優秀賞
10 藤井直子「おれがあいつであいつがおれで」
 「語り手」である「俺」の存在感が魅力です。目の前で少年が語っているかのよう な存在感です。しかも、コメントのように、「強がりだけど、ちょっと気の弱い男の 子の性格」までも声に表現されています。この表現によって、私たちは作者の描いた 作品世界の入り口に立つことができます。作品の一部分だけではなく全体を聴いてみ たくなるよみです。

優秀賞
14 古賀朋子「がくあじさい/あいたくて」
 人が声を発するということは何なのか。音声表現の原点となる表現です。世間では いかにことばが軽んぜられているか。耳ざわりよく、美しいことばから、日々、滑り 落ちているものは何か。コメントで言われる「体全体をつかって、身体感覚をもっと 大事にして読む」こと、「ひとつひとつの言葉をしっかり捉えて読む」こと、そこに たしかな表現があります。同校より同時に応募されたNo.15、No.16の両作品について も同様に評価されるべきものと思いますが、その代表として選びました。

06 びっくまうす「ふしぎな図書館」
 作品はおとなの童話のような作品です。こんな作品をよんだら、たいていアニメの 中の登場人物のような薄っぺらな人物を作り上げてしまうものです。しかし、そうな っていません。人物の会話に現実的な人間の存在感があります。原作のねらいが現実 の声の表現として実現されました。ここまでくれば、ちょっとしたナマリやアクセン トなどは問題ではありません。

23 山口葉子「舌を噛み切った女」
 今、日本の伝統的な発声や発音が危機にあります。このままでは伝統の「語り口」 は滅びてしまいそうです。これは古典的な声の様式を尊重しつつ、人物の存在感を表 現したよみです。このような作品の読みでは、作品全体を伝統の音調やリズムで塗り 固めてしまいがちですが、原文に表現された個性的な人物像の存在感がみごとに表現 されています。

X.朗読のさらなる広がりに期待
 朗読は、世代を超えて大ぜいの人たちが参加できる活動です。それぞれの人たちが 自分の感動した作品を取りあげて声に出して読んで楽しめます。読み手が表現した作 品を聴くこともまた朗読の活動です。
 今回の応募作品には、これまで読まれるこ との少なかったものがたくさんあります。朗読される作品の広がりという意味でも、 参加者の作品選択は意欲的なものでした。まだまだ読まれていない作品、知られてい ない作品がたくさんあります。これを機会に、これからも大ぜいの人たちが読み手と して、また聴き手として朗読の活動に参加されることを期待いたします。